箕山スポーツ医学塾(File №22):足根骨癒合症 Tarsal coalition

足根骨癒合症 (Tarsal coalition)は、発生頻度が1%以下のとても稀な疾患とされています。距骨・踵骨、踵骨・舟状骨での発生が最も一般的ですが、当院では、これまでに舟状骨・第1楔状骨の癒合症を3例経験しました。
いずれの症例も、保存療法(圧痛と回内・回外ストレスでの誘発痛が減少し、レントゲン画像で不整像が改善するまでの運動禁止)にて、疼痛なく競技に復帰することができました。

完全復帰に要した期間は以下の通りです。
 12歳 男 サッカー:4週
 13歳 男 サッカー・ハンドボール:8週(写真の症例)
 13歳 男 野球:5ヶ月

足根骨癒合症(Tarsal coalition)は、明確な原因は分かっておらず、先天的とされていますが、今回の症例では、いずれもタイトネスが原因による足関節背屈不足と内側アーチ低下がみられました。これらが要因となり繰り返し同関節に負荷がかかっていたことが考えられます。
手術を推奨する文献もあるなか、保存療法で競技復帰ができました。今回の発生部位に限ると、個人的には後天的な一種の離断性骨軟骨炎のような病態なのではと考えています。