2012年05月09日 アーカイブ

箕山スポーツ医学塾(File №11): 踵骨疲労骨折stress fracture of calcaneus

【箕山クリニック:Doctor】
 踵骨体部・隆起部付近での疲労骨折ではなく、頚部に発生した比較的稀な症例
 middle age  / female  / runner
[主訴]
フルマラソン後より右足部外側の疼痛
[初診時所見]
踵骨前方から立方骨にかけて、軽度腫脹(+)、圧痛(+)、heel squeeze test(‐)、X-ray(n.p.)
圧痛の程度から、立方骨疲労骨折の可能性が考えられるので、ランニングを禁止してfollow up
[初診より3weeks後]
圧痛(+)(踵骨前方よりは立方骨の方にみられた)にて、疲労骨折で間違いないと判断し、ランニングの禁止を継続
[初診より6weeks後]
圧痛(-)で徐々に、ランニング再開を許可したところ、再び同様の症状が出現

MRI撮影にて、踵骨疲労骨折の確定診断をした。初診より10weeksのX-rayで、同部位に硬化を認め復帰した。


 
左:初診時(n.p.) 右:10週後callus(+)(MRIでhigh intensityのあった後距骨関節面の前方凹部)

踵骨前方に発生した疲労骨折[考察] stress faracture of the anterior portion of the calcaneus [discussion]
この症例の特徴的なalignment
1. high arch 
2. inversion & limited motion of subtalar joint(内反で硬い距骨下関節)
発生メカニズム
A) high archのため、踵骨の厚さの無い部位への荷重垂直応力
B) mid stance phase~late stance phaseにおいて、中足部より遠位がhyper-pronation(過回内)の代償運動をすることで、踵骨の前方へ捻れ負荷と立方骨側からの圧力
 
 200km/month以上走るランナーは、部位に関係なく疲労骨折発生リスクが高まるとの報告もあります。問診で聞いておくことも重要かもしれません。