2012年04月26日 アーカイブ
箕山スポーツ医学塾(File №10):立方骨疲労骨折
【箕山クリニック:Doctor】
2年前の関東労災病院・スポーツ整形外科のカンファレンス[by武冨修治先生:現在、東大病院] にて初めて、立方骨疲労骨折という症例があることを知りました。臨床においては、立方骨・腓骨筋腱溝における長腓骨筋腱の腱鞘炎やcuboid syndromeは、よく診ることがありますが、今のところ立方骨疲労骨折の症例報告は確認したことがありません。
写真の症例は、サッカー選手で、3週を経過しても疼痛の改善がみられなかったため、MRI撮影にて立方骨疲労骨折と確定診断した症例です。
当院においては、これまでサッカー選手とランナーの2例を経験しております。
立方骨疲労骨折について考察する前に、すでにある程度解明されている舟状骨疲労骨折とcuboid syndrome(subluxation)についてreviewしておきます。
舟状骨疲労骨折 : risk factorとしては、足関節背屈制限(Torgら) 外反母趾(Torgら.Pavlovら) ハイアーチ(Tingら.鳥居)などがあげられ、いずれの場合も立脚後期における過度な回内によるものと考えられます。
Cuboid syndrome(subluxation) : 内反傾向下で、立脚後期においてバランスを取るため長腓骨筋が過度に収縮する事が原因と考えられます。(Mooneyら)
立方骨疲労骨折考察 : 立脚後期において、腓骨筋の過度な収縮と、過度な回内が原因ではないかと考えられ、比較的足関節が柔らかく扁平足であることはrisk factorになると考えられます。外転(足部)傾向が強ければ、第4、第5中足骨-立方骨の関節面、踵骨-立方骨の関節面での圧力も影響するかもしれません。
この選手は、扁平足で、ATFL不全(患側)、腓骨筋腱脱臼(患側)を合併しておりました。外果を滑車として、腓骨筋が正常に機能せず、長腓骨筋が立方骨を滑車代わりにして、収縮を繰り返したことも影響したのではないかと考えられます。
MRIにて疲労骨折を診断できるようになったのは10年ほど前からです。それ以前にcuboid syndromeとされてきた症例のなかにも、立方骨疲労骨折があったのかもしれません。
【投稿コメント:Doctor】
bone bruiseが見えますが、その局在からはcalcaneusより、5th metatalsalからのrepeated compressive forceが原因みたいに見えます。どんな動作が誘引になるのでしょうか?
【箕山クリニック:Doctor】
同じhigh intensity(STIR)でも、これは打撲などの外傷ではなく、繰り返しによる負荷での障害ですから、bone bruiseではなくstress fractureになります。でやはりここを通過するperoneal longusがdynamicで過度に使われすぎている結果です。
【投稿コメント:Doctor】
内反(回内)の代償にperoneus longusが収縮する結果、cuboideumに回外方向へのreactionが生ずるということでしょうか。ありがとうございました。私は、peroneus brevis等の収縮力によって回内応力に抗する結果、リスフラン関節側からの衝突が起きて疲労骨折を来すのかと考えていました。
【箕山クリニック:Doctor】
high intensityが第5中足骨側に強く出ているので、先生のお考えも合っているかもしれません。
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