箕山スポーツ医学塾(File №3):閉鎖筋肉離れ


【箕山クリニックDoctor】
閉鎖筋の肉離れはMRI(magnetic resonance imaging=核磁気共鳴画像法)によって確定診断されるようになった部位の肉離れです。
MRI検査はとても高価なため、金銭的な面を考慮すると、学生に頻繁に行うわけにはなかなかいきません、可能な限り問診と身体所見だけで診断をつけるようにしていますが、身体所見を取っても、ストレッチ痛があっても抵抗下痛はないなど、内転筋?ハムストリング?腸腰筋?と非常に分かりにくく、どの筋とも一致しません。
数年前に大学のサッカー選手が、「ボールを取りに行き、脚を伸ばしたときに痛くなった」と来院し、どの筋か確定できませんでしたが、今思えば、閉鎖筋肉離れだったかもしれません。2~3年前に論文で知り、今では受傷機序と身体所見(股関節屈曲位での内旋痛や外旋抵抗下痛など)から見逃さないようにしていますが、鼡径部に疼痛を出すその他様々な疾患と鑑別しなければならない外傷です。
写真は、問診と身体所見から大腿骨疲労骨折も考えられ、レベルの高い選手で復帰に2~3週かかるのか、それとも6~8週かかるのを明確にしなければならなかったためMRI撮影を行い、左外閉鎖筋肉離れと確定診断した症例です。

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【投稿コメント:ドクター(某Jリーグチーム)】
サッカー選手には割りと多く見られます。個人的には2〜3週で、痛み次第ではプレー可能と考えています。

【投稿コメント:M’s AT project Athletic Trainer】
数年前にGroin painの話を聞いた時に、このような症例もあったという話を聞きました。
内閉鎖筋・外閉鎖筋どちらの損傷かで復帰までのアスレティックリハビリテーションが変わることはありませんが、神経支配の違いから内閉鎖筋損傷と外閉鎖筋損傷で疼痛の訴え方に差が出るという文献も見た事があります。実際臨床ではいかがでしょうか。
【箕山クリニックDoctor】
外閉鎖筋は大腿内転筋群と同様に閉鎖神経支配にて、内転筋周囲痛を感じる。
内閉鎖筋は仙骨神経叢支配にて、肛門周囲や臀部の後内側に疼痛ないし違和感を生じる。
(整形外科スポーツ医学会誌Vol.31 No.2 「サッカー選手に生じた閉鎖筋損傷3例の検討:大沼 寧」より)

【投稿コメント:ドクター】
ハムストリングの付着部断裂は、手術適応ですが、これも手術適応な症例があるのでしょうか?
【箕山クリニックDoctor】
身体所見で疼痛が強く外旋の力を出せてないようであればMRIで確認し、付着部断裂して筋が短縮しているようであれば、ハイレベルの選手なら手術適応も考えられると思います