2005年03月 アーカイブ

日本式

連日お騒がせなライブドア対フジテレビ。見事に新旧の争いを描いており、若い世代は堀江社長を支持するほうが多いようである。堀江社長の発言を聞いていても、経営について非常に勉強していることが分かるし、保守的なものをぶっ壊して新しいことを取り入れなければという姿勢はとても評価に値する。よく私は他人から変わっていると言われるが、本人は自分が一番まともだと思っている。きっとホリエモンもそうだろうが、同じ変わり者として評価する一方で、いったいこの異端児は例の球団買収失敗から何を学んだのだろうと思う。相変わらず服のセンスは悪く、お腹は出ており見た目の印象の悪さに加えてふてぶてしい態度は礼を大切にする日本において旧い人達に受け入れられるわけが無い。M&Aはアメリカでは当たり前だ、これでニッポン放送の大株主だと偉そうにしても日本で受け入れられるはずがない。日本企業の株主を大事にしない構造自体を否定したいのだろうが、根本的なところで間違っている。アメリカ国民の個人金融資産に占める株式の比率が20%を越しているのに対し、日本国民の場合株式は5%をきっており、リスクの少ない定期預金が約50%なのである。このようにバブルで懲りて株というリスクものに関心の薄い日本において、当然日本版401Kなんかもうまくいくわけもないし、企業は株主のために商売をしているわけではないのである。日本企業は考えが古い、アメリカ式でやるんだといって日本式を無視して頑張ったところで勝てるはずがない。
お金を操ったりITを利用したアイデアを出して実現していくことに関してプロであっても、放送に関してはど素人であるのだから、経営権を握ろうとするにもニッポン放送とフジテレビとはうまくやっていかなければその後の経営は難しいはずである。日本人として、日本の企業として、日本独自の良さを大切にし、きちんと人との関係を大事にしていって欲しい。何でもかんでも新しいものが勝つわけではないのだ。そして、大きな組織を支配しようとしているのに全く組織論を分かっていないホリエモンには、ぜひ「踊る大捜査線2」を見て欲しいと思う。自分独自の創造によって見事にお金持ちになってしまったものだから、世の中が見えておらずなんでも自分の思い通りに行くと思ってしまっているのだろうか。可哀相だ、ぜひお友達になってあげたい。まぁ、彼のほうは全く私に興味なんてないだろうが・・・。

さて、前ふりが長くなってしまいましたが、今回のコラムでは日本の医療は今後のどのようにすべきなのか日本式を述べたいと思います。以前のコラムでも述べたように、日本では医師会の保守的な規制があるとはいえ、医者であれば自由に開業でき、患者さんも自由にどの診療所や病院でも診察を受けることが出来ます。こういった医療環境では、普段ちょっとしたケガや病気は近くの診療所で診てもらい、さらに詳しい検査や手術が必要であれば大きな病院に紹介してもらうというのが理想的なかたちなのです。が、しかし、俺がナンバーワンだ、何でも出来ますよ、私のところを来ればすべて治りますよぐらいの自信家開業医さん達は、患者さんをお金稼ぎのために抱え込み、専門家へ紹介するタイミングを逃しているうえ、自分の専門外のことまで診療科目として手を出してしまい、病気を改善させるどころか悪化させてしまっているのです。これが分かっている患者さん達は、信用できる専門医のいる大病院に3時間待ち3分診療にもめげず通うというのが現状でしょう。大病院では、午後には技術のいる検査や手術が予約でいっぱい埋まっているのに、山のように待っているこういった患者さんの外来診察を、お昼ご飯も食べる暇もなくイライラしながら午後の手術までに終わらせなければならないのです。日々進歩し続ける医学も今やたくさん学ぶことがあり、かなり細分化されています。そういったなか大病院のお偉い先生方には、自分の専門分野だけはきちんと日々勉強し患者さんにベストなことを行っていってもらいたいのです。そして時間的余裕をもって患者さんに接してもらいたいわけで、そこから医療ミスの減少にもつながるはずなのです。では、大病院のお偉い先生方に時間を作ってあげるにはどうすればいいのか。患者さん達が信頼し安心して行くことが出来る診療所が増えなければ、大病院へ直接外来診察に行ってしまう患者さんは減らないのです。診療所の開業医も、なんでもできますよと患者さん集めに必死にならず、より専門的な診療を行っていかなければなりません。そして、近隣の大病院と常に連携しながら、お互いを信頼しあい患者さんにベストなことを行っていかなければならないのです。なんでも出来ますよは、結局なんにも出来ないのと同じなのです。自分はこれが出来ると自信を持って言えるものを一つ作らないといけないでしょう。そのためには、お役人どもも細分化されている医療を学んで欲しいものです。医療法で定められた昔ながらの特定の診療科名しか標榜としてあげられないようでは、専門性はアピールできませんからね。しかも、地域によって規制の格差があるのは非常に不思議だ。箕山クリニックは、スポーツ医学の専門性の高いクリニックであるにもかかわらず、スポーツ整形外科やスポーツ医学科は医療法上で標榜診療科として認められていないため、箕山スポーツクリニックとは言えないのである。しかしながら、他の地域にいくとそれを許可している保健所もあり、○○スポーツクリニックとうたっている診療所もあるのだ。スポーツクリニックだけでなく、ペインクリニックや今流行りのレディースクリニックも本当はクリニック名として使用できないはずなのだが・・・。不思議だ、横のつながりの無い縦社会の役所は実に不思議だ。

医療もきちんと日本のシステムのいいところを出して、日本式を進めていかなければ生き残れない時代になってきた。常に先を行く箕山クリニックは(時々先を行き過ぎてしまっているような気もするが(笑))、来るべき日本式医療を見越して箕山式を歩んでいくのです。(注)箕山式といっても、オギノ式のような避妊の方法ではないですからね。あれっ、ムリヤリ最後に下ネタを持ってこなくてもよかったですか。

第6回スポーツ外傷講義:膝の関節鏡検査・手術

今回は特定のスポーツ外傷についての講義ではなく、日本の整形外科医のレベルがいかに低く、患者さんに対して膝の関節鏡検査が無駄に行われているかをお教えしましょう。

スポーツクリニックとして外来を行っていると、膝の外傷が大半を占めます。必ずしもすべての患者さんがケガをされてすぐに箕山クリニックへ来られるのではなく、さんざんいろんな病院や診療所を回られた挙句に、スポーツのケガを専門に診てくれるところを探されて箕山クリニックへやってこられる方もおられます。コラム「日本式」で書いたように、ダメ開業医があまりにも多いため、「大病院ならば専門のドクターがそろっていて安心」とすぐに大病院へと行ってしまう方もおられますが、病院もきちんと選ばなければ危険です!
診察していてときどき残念に思うのは、無駄な関節鏡検査・手術をされてしまっている方がおられるということです。
なぜでしょう。きちんと診察や画像で診断をつけることができない整形外科医が多いからです。
通常、まともな整形外科医もしくはスポーツドクターの診断手順は次のようになります。
1.
基本中の基本である問診。このときに、どういうふうにケガしたのか、腫れたか、腫れはどの部分にあったか、膝のどの部分(前、内側、外側、裏)が痛いのか、どのような動きで痛いのか、など詳しく聞きます。うざいくらい聞くドクターほどまともであると思ってください。さらにイケてるドクターであれば、この時点で8割方の診断がつきます。
2.
残り2割を埋めていくために、次は視診・触診です(ただし、視診は患者さんが診察室に入ってこられる際からも始まっています)。
問診から考えられたケガでいいのか、視て、触って確認します。腫れはないか、関節内に水腫はないか、押していたいところ(圧痛)はないか、ストレスを加えて痛くはないか緩みはないか、などなど。
ここまでで、ほぼ99%診断をつけられるのが名医です。よくバカ週刊誌などが名医特集などやっていますが、手術件数が多いだけで名医と言えるのでしょうか?本当の名医とはお金のかかる無駄な検査を行わずに、上記のような患者さんとのコミュニケーションと自らの技術だけで、きちんとした診断をつけることのできるドクターなのです。
3.
最後に残り1%を埋めて100%の診断をつけるために、次のような検査が行われます。
レントゲン、CT、MRI。これも最小限のレントゲン検査でとどめるべきでありますが、骨をさらに詳しく見たい場合はCT、靭帯や半月板などを詳しく見たい場合はMRIを 行います。ここまでくれば、まず100%の診断がつきます。

これら最後の画像までそろっても、画像診断のできないドクターは「関節鏡を行って実際
に見て診断をつけましょう」だとか、傷なんて入ってないのに「傷がありますので、関節
鏡で手術しましょう」となってしまうのです。
大病院でもこのようなドクターがいるのですからビックリです。また、小さな病院や簡単
な手術を行う診療所では、関節鏡をどんどん行って少しでもお金稼ぎをしようとしている
ところがあるので、注意してください。
こういう整形外科医が平気で専門医と名のっているのですから、それを認定する学会は会
費だけ集めて万々歳ではなく、もっと真面目に専門医の教育制度を考えて欲しいものです。

結局、「患者さんのために研修医のときにどういった勉強をしていけばいいのか」、また「ど
ういった技術を習得していけばいいのか」、と自ら考え行動の出来るドクターこそがイケて
るわけです。みんなが医局に入るから入っておこう、みんなが専門医を取るから取ってお
こう。これって信用できますか?

皆さんが賢くなって、ドクターを選ぶ時代です。上記の1~3の手順の無いドクターやすぐ
に関節鏡で覗き見したがるドクターはあやしいと思って下さい。少しでもダメドクターの毒牙にかからぬように、今回の講義が皆さんのドクター選びの参考になればと思います。

物事の根幹を

アジアのリーダーになりたい日本、国連常任理事国入りを目指す日本、憲法改正の動きが現実化してきた日本、それを邪魔するかのように相変わらず周辺国がうるさい。反日色が強い中国、韓国では三・一独立運動記念式典でのノムヒョン大統領のビックリ発言と竹島問題。時期を合わせるかのようにアメリカからライス国務長官が牛肉輸入再開を迫りにやってきた。

皆さんは世界の出来事には裏の裏があると考えたことはありますか。陰謀説ってやつですね。有名なところだと、ロッキード事件は、日本独自にエネルギー源を確保しようとした田中角栄に対するアメリカの陰謀だったという説がある。アメリカは間違いなく日本の底力を怖れている。日本の一人歩きを何とか阻止するため、あの手この手を使っているのだ。戦後、GHQによって作られた日本国憲法によって軍を持てない日本は、アメリカ様に守ってもらうしかない。いくら経済やものづくりで勝とうが、自分の国を自分で守れない国は、北朝鮮ごときのテポドンにビビリながらアメリカさま様なのである。そこで、第9条の改正が主な目的である憲法改正が必要とされている。湾岸戦争のようにお金を出しているだけではダメだと、イラクに自衛隊を軍として(戦闘地域ではないところでの復興支援とはいうが、軍とみなされていることに違いはない)送らせたアメリカも、自分たちの都合のいいように作った他人の国の憲法改正を望んでいるはずだ。しかしながら、その一方で日本の自立を怖がっている。周辺国が戦前の軍国主義の復活だと騒いでいるのは、どうもアメリカによってコントロールされているのではないかと考えるのは、アメリカ嫌いでひねくれ者の私だけだろうか。国連の常任理事国になるのも、周辺国の支持がいる。う~ん、やはり最近の(以前からだが・・・)周辺国の異常な騒ぎはあやしい。いずれにせよ、日本が自立できない問題の根幹は、軍がなく自分の国を自分で守ることが出来ないところにあり、解決には憲法改正しかないのである。物事を根幹から解決できない人達、とくにオバちゃんの立ち話党とでも言うべきS党さん、アメリカの属国ではあってはならないとほざきながら憲法改正も反対と言うが、じゃあどうするんですか。

さて、医療で根幹から問題を解決しなければならないといえば、医療事故。厚生労働省が近年、ヒヤリ・ハットといって事故に至らないまでのヒヤリとかハットしたような事例を収集し、その事例を知れば今後同じようなことが起きることを防げるとしている。確かに、こういった報告は基本中の基本であり大事なことだが、今まで行われていなかったこと自体が不思議であり、また病院内でも報告というものがなされていなかったことがおかしい。つまり、こういった報告、連絡、相談(ホウ・レン・ソウ)に必要な組織形態が病院にはないのだ。事例報告を行っている病院の中にも、ただ単に御上に言われているから行っているだけで、医療事故の根幹解決につながる報告義務や組織の確立、そこからの原因改善にまで至ってないところが多くあるはずだ。医療でミスはあってはならないが、世界の本田宗一郎の言葉で「成功は99%の失敗に支えられた1%」とあるように、失敗やミスが起きないわけは無いのである。ヒヤリ・ハット事例報告も大事だが、事例を集めていても次から次へとキリがない。何年かけて問題解決しようというのだろうか。収集だけでなく根幹の改善を平行して行っていかなければ、いつまで経っても現状のままである。やはり、時間と人材のムダが大好きなお役人の行うことはさすがだと思う。ミスに対する即時報告と再発防止、業務の中でも人命に関わる部分でのダブルチェックの徹底、患者さんとの人としての誠心誠意の対応等々、当たり前のことがトップから抹消まで徹底できるような組織形成を考えなければならない。
病院とは不思議なところで、企業のように組織が成り立っていない。病院の組織の話をする前に、余計な話をすると、皆さんが思っているほど病院は儲かっておらず、人件費ばかりかかって利益なんて無いに等しく経営も企業のように成り立っていない。人件費ばかりかかるといっても、医者の給料なんて知識・能力・労働量・寿命を縮めているであろう責任からすれば鼻くそみたいなものであり、よほどそこら辺のチャラい外資系のサラリーマンのほうが稼いでいる。では、どこに人件費がかかるのかといえば、口だけは立派に動くが頭と身体が動かないオバちゃん看護士や公的病院(国公立や日赤、済生会、労災など)になれば天下りでやってきている偉そうで無愛想な事務方たちであり、改善するには病院内にもぜひトヨタ方式を取り入れなければと思う。医療は営利目的であってはならないと株式化を拒んでいるが、さっさと株式化したほうが我々の税金が無駄に公的病院の建て直しなどに使われるようなことはないだろう。さて、病院の組織について話を戻そう。組織とはいくつもの三角形が重なり合って一つの大きなピラミッドと成っているものだ。頂点の三角形からボトムの三角形まで連携されていなければならないし、ボトムがしっかりしていなければトップの三角形は崩れてしまう。病院のピラミッドは不思議なことがいっぱいである。医者は診療にあたってピラミッドの頂点にあたるが、診療以外の部分では病院内のどの三角形に位置するかは分からない。医者は、俺が一番気取りの者ばかりで、それぞれで小さな三角形を作ってしまううえ、その三角形の横連携はない。患者さんのために医者、看護士、事務が連携しあわなければならないのに、それぞれの三角形が出来てしまって、さらにここにも横繋がりがない。三角形がいっぱい出来てしまっても、それぞれの三角形の能力が高ければ何とかなるが、医者同士にも格差がある上、何よりも看護士と医者との知識レベルの差がありすぎる。こんなピラミッドの形にならない三角形の集団が、あちこちで事故やミスを起こしたり、どこにも報告がいかないのは当然だと思いませんか。組織の問題だけが根幹ではなく、マンパワー不足というのも問題の根幹にある。日本の病院は医者が行うことが多すぎる。ダメ医者が世の中に蔓延っており、医者なのに医者嫌いな私が、別に医者の弁護をしようとは思わないが、疲れきっているうえ忙しい仕事をこなしていれば、ろくに患者さんとコミュニケーションはとれないし、嫌でもミスが発生してしまうのだ。日航のミスが連発しているが、これも赤字経営を何とかしようと、人件費を抑えるためのムリがたたっているのかも知れない。特に公的病院は、天下り事務方が得意のムダをやめて仕事の効率化を行い、医者の仕事をもっとサポートして欲しいものだ。

世の中には、もっともっと根幹から解決しなければいけないことがたくさんある。問題発言大好きオヤジの森喜朗元首相ではないが、いろんな問題の根幹として教育というのは大事だと思う。腐った日本の教育で迷える若者たちよ(といってもトレーナーを目指す者たち対象だが)、箕山クリニックの勉強会に参加したまえ。スポーツ医学やトレーナーのお勉強だけでなく、インチキが蔓延る世の中をまっすぐ真っ当に生きていく立派な社会人にもなれるような教育もしてあげるぞ。